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経営トップのコミットメントを得る
DX化を推進していくことは簡単ではありません。ただ単に自社にデジタル技術を取り入れるだけのことではなく、新たな価値やビジネスチャンスの獲得も目指す必要があります。ツールやシステムの導入だけでは不十分であり、これらを実施した上で会社の体制を抜本的に改革することになるケースが多いです。社内でDXを推進するべきだと考えている人が、これがどれほど大掛かりなものであるか理解できていなければ失敗を招くことになります。特定の人物や部署だけでツールやシステムを導入したり体制を変えたりすれば良いわけではなく、基本的には会社全体に影響が及ぼされるでしょう。企業によって従業員数や部署数に違いはありますが、全ての社員や部署へ働きかけ、全体的な協力を得る必要があります。簡単なことに思えるかもしれませんが、このプロセスで躓いてしまう企業は少なくありません。DX化の推進に前向きな人ばかりであれば、プロジェクトを率いる人物からの指示や提案をすんなりと受け入れてくれるかもしれませんが、DX化に否定的な人が多いことも事実です。特に日本人は伝統やルールを大切にする傾向があり、古くからのやり方を積極的に変えようと思わない人が多いと言えます。DX化のプロジェクトリーダーが、いかにDX化が重要であるか、最新のツールやシステムが有意義なものであるか説いたとしても、全員の心に響く可能性は低いと言えるでしょう。
DX化の構築のための主なステップ
1.経営トップのコミットメントを得る
そこで重要なのが経営トップのコミットメントを得ることです。もちろん、経営トップの意向であることをアピールしても推進を反対するが出てくるかもしれません。けれども、プロジェクトリーダーだけから説明が行われるのと、経営トップによって直々に説明が行われるのでは効果が全く違っています。早い段階で経営トップのコミットメントを得ておき、経営トップから直接DX化を推進していくことを宣言してもらえば、多くの社員は従わざるを得ない状況になるでしょう。DX化を進めていくときには従業員からの理解や協力が必要不可欠なので、全ての社員が同じ方向へ向けるようにしておく必要があります。経営層からDX化を推進するように指示されたけれど、経営層は何もしてくれないというケースは少なくありません。何もしてくれなければプロジェクトを率いる人たちでどうにかするしかないと思いがちですが、成功のためには経営層やトップに動いてもらう必要があります。様々な理由からDX化推進開始に関する宣言を引き受けてくれない経営トップもいるかもしれませんが、こういった理由からトップ直々の言葉が必要であるのだと説得するべきです。
2.「プロジェクトに携わる人」と「経営層」で共通した認識を持つ
また、経営のトップコミットメントを得ることができたとしても、中身が不十分であれば意味がありません。プロジェクトに携わる人と経営層で共通した認識を持っていなければ、会社全体に広く働きかけていくことが難しくなります。残念ながら、プロジェクトメンバーにDX化に関する業務だけでなく意思決定まで丸投げしてしまう経営層は少なくありません。経済産業省からもDX推進の重要性が説かれており、「社会全体がDX化の流れだからプロジェクトを進めるように」「デジタルに詳しくないから担当者に任せる」など、曖昧な指示を行ったり積極的にプロジェクトに参加しなかったりするケースが多いです。普段から社員に任せるという方針の経営層であれば、違和感を覚えることがないかもしれませんが、DX推進においては話が違ってきます。一般的な業務は特定の人物や部署だけでこなせるものであることが多いですが、先述したようにDX化は会社全体の話です。経営層やトップにはプロジェクトに関わることの重要性を理解してもらい、内容に関して細かく同意を得ていく必要があります。
3.具体的な内容に関してまで同意を得る
承認だけ行っているような経営者がいる場合は、従業員の協力が得られてもスムーズにDX化を行うことができないという問題も発生します。具体的な内容に関してまで同意を得ておかなければ、計画を立てて後は実行するだけという段階になってから「そのやり方は良くない」と、経営層からストップがかかるリスクもあるでしょう。実証実験を済ませてデータを用意してから本格的な導入のための承認を得るステップで、「そのシステムは導入しなくて良い」と言われる可能性もあります。あらかじめかなり細かい部分まで同意を得ていなければ、こうした問題が起こってもおかしくありません。プロジェクトメンバーが身を粉にして他の社員への働きかけ、計画の策定や実証実験などを行ったとしても、経営層による理解のない言葉で全てが無駄になってしまう可能性があります。現場に丸投げしているのに、最終的な判断段階で決定権を持つ人から承認が得られないという最悪の事態になってしまえば、プロジェクトが振り出しに戻ってしまうことになるでしょう。
DX化の構築のためのファーストステップ
まとめると、経営層を含めてプロジェクトに携わる人々で具体的な計画を共有し、最初の段階で全ての人または経営トップから承認を得ておく必要があります。代表や社長が「DX化を推進します」と宣言すれば良いという単純な話ではありません。DXを推進していくことだけではなく、どのようなことを行っていくのかという部分まで経営層からの理解を得ておくことで、プロジェクトが進められないという問題が起きるリスクを低下させることができます。会社全体に大きな影響があることだからこそ、経営層やトップの協力が必要です。トップを含めて社員みんなが同じ方向を向いていなければスムーズに話を進めることができませんし、DX化に後ろ向きな気持ちの社員の考えを変えることも難しくなります。企業ごとにDX化を推進していく際の環境や体制は大きく違っていますが、どのような企業であっても経営トップのコミットメントを獲得しておく必要があるでしょう。プロジェクト初期段階で躓かないようにするためには、これが必須だと言えます。経営トップがDX化について理解できていないのであれば理解を得ることから始める必要があり、経営層まで巻き込みながらDX化のためのプロジェクトを進めていけるようにしておくべきだと言えるでしょう。
経営戦略・ビジョンの作成
経営戦略とビジョンの作成もDX化推進における重要なプロセスです。不明瞭なプランでは任務を遂行することができません。どの企業にとってもDX化は初めてのことなので、手探りでプロジェクトを進行させることは仕方がないことだと思っているかもしれないです。確かに、初期段階から全てを完璧かつ明確に決めておくことは難しいと言えます。ですが、目的に応じた経営戦略やビジョンが定まっていなければ、いつまで経ってもプロジェクトを軌道に乗せることができません。
経営戦略・ビジョンの作成のための主なステップ
1.目的の決定
これを実現するためには、最初に目的の決定を行う必要があります。DX化推進の目的はデジタル技術の活用だと勘違いしている人が非常に多いです。このような考えを持っている場合は、DX化について正しく理解することができていません。現状のままでは激化する市場を生き抜くことができない企業が多く、この問題を解決するためにDX化を推進するべきだとされています。レガシーシステムを使い続けていると、古いシステムを運用できる人が退職することなどを理由に運用者がいなくなる、古いことを理由に継続してシステムを利用できなくなる可能性があるでしょう。身近なものを例にあげるとすると、スマートフォンが普及するようになってからガラパゴス携帯は衰退していきました。しばらくはガラパゴス携帯を使用する人もいましたが、徐々に製造を打ち切るメーカーやサポートを終了するメーカーが増えていったのです。いつまでもガラパゴス携帯からスマートフォンに切り替えようとしなかった人は、サービス終了をきっかけに急にスマートフォンを使用することになり、今まで通りに携帯を使えないという経験をした人が多いと言えます。企業活動においても同じようなことが起こる可能性が高いです。DX化を推進していなければ古いシステムに依存することになり、既存のシステムが使えなくなったとき、システム提供側がサービスをやめたというときに柔軟に対応することができません。携帯電話の場合は時間をかけてスマートフォンの操作に慣れれば良いだけですが、企業活動はそういかないはずです。システムの問題を理由に企業活動をストップすると利益を生み出すことができなくなり、立ち行かなくなってしまう可能性が高いと言えます。デジタル技術を活用することは手段に過ぎないので、一歩進んだ目的を考えるようにしてください。IT技術活用によるレガシーシステムの脱却によって、どのようなことを実現したいのかということを目的として掲げるべきだと言えます。
2.経営戦略・ビジョン作成
目的が決まったのであれば、経営戦略を練ったりビジョンを作成したりすることが可能となるでしょう。最終的な目的を達成するために、何を行う必要があるのか決めていきます。ここで重要なことは、短期的な戦略やビジョンにならないように意識しておくことです。デジタル技術を活用すれば業務効率を大幅に改善することができたり、これまでよりも働きやすい環境を形成したりすることが可能となります。そのため、DX化はスムーズに進めることができると勘違いしてしまう人も多いです。しかしながら、実際にはかなり長い時間をかけなければDXを進めることができません。戦略やビジョンに合ったツールやシステムの選定、導入から社員への定着、問題点の洗い出しと改善、新ビジネスの創出などを行っていくことになります。長く使っていくシステムやツールを導入することになるので、失敗しないようにトライアルなどを活用しながら慎重にサービスを選ぶことになるはずですし、導入してもすぐに社員が使いこなせるようになるわけではありません。問題なく業務ができるようになるまでには長い時間を要しますし、新しく取り入れたことはこまめに評価を行って必要に応じた改善を実施していく必要があります。デジタル技術を業務に活用できる体制が整ったのであれば、ようやく新ビジネスに向けて取り組めるようになるでしょう。企業によって必要な年数は違ってきますが、最低でも3年、長ければ5年以上の期間が必要であることを理解しておくべきです。
長期的な戦略やビジョンにすることが大切だと分かったはずですが、もちろん内容にも気を遣う必要があります。プロジェクトに携わる人みんながDX化について十分な理解を持ち、これを実現させるために必要な内容を組み込んでいくことが重要です。あやふやな部分が多いと意味のない実証実験が繰り返されたり、導入したシステムやツールが不要になってしまったりする可能性が高いと言えます。企業によって内容が大きく違ってくる部分であるため、これを取り入れるべきだと断言することはできません。自社で掲げた目的と照らし合わせながら、経営層やプロジェクトメンバーが経営戦略やビジョンを作成していく必要があるでしょう。
ぶれない軸となる戦略やビジョンを用意しておこう
経営戦略とビジョンをハッキリさせておかなければ、社員の同意を得ることが難しくなります。たとえ、経営トップがDX化に協力するようにアナウンスしたとしても、これが不明瞭であれば必要性を理解することができずに協力が得られなくなるはずです。理想は長い目で見た詳細な経営戦略とビジョンを用意し、それを細分化して中期的や短期的な行動指針をつくっていくことだと言えます。一朝一夕で実現できることではないので長期的な戦略が必要ですが、長い期間にわたる戦略を打ち出されても社員は自分たちが何をすれば良いのか理解することができません。まずは1か月以内に各部門で必要なツールやシステムを提案する、3か月以内にツールを選定して導入するなど、分かりやすい計画を打ち出しておく必要があります。曖昧さはDX化の失敗を招きかねないので、あらかじめプロジェクトメンバーと経営層が戦略やビジョンをしっかりと作成しておくべきです。同時に自社の分析や競合他社の調査なども必要になってくるはずなので、やることは少なくありません。DXを円滑に進行させるためにも目標とやるべきことをハッキリさせておきましょう。必要に応じて修正を加えなければならないこともあるはずですが、戦略やビジョンが大きくぶれてしまうと社員を振り回したり、時間やコストを無駄にしたりする可能性が高いので、ぶれない軸となる戦略やビジョンを用意できるようにしておくことが望ましいです。
体制づくり
DX化推進の際には体制づくりの重要性も理解しておく必要があります。社員に協力を求めることで簡単に了承が得られるわけではありません。体制が整っていないのに協力を要請しても納得してもらうことは難しいと言えます。整えなければならない部分はたくさんあるので、整備されていないことで不満を持つ社員があらわれないように注意しておかなければなりません。
DX化推進の環境形成
まず、社員が問題なく働いたり協力したりすることができる環境を形成しておく必要があります。DX化を推進するときにはどんどん新たなことを取り入れるケースが多く、社員がついていけなくなってしまうことが少なくありません。今までと同じ量の業務をこなしながらDX化に協力することには無理があります。既存システムと全く違ったシステムを取り入れてすぐに、今までと同じスピードで作業をこなすように指示をしても上手くいくはずがありません。業務量を調整したり人員を増やしたりすることによって、問題なく社員がDX化に携われる状況をつくり出しておくことが重要です。
1.人事評価制度の改革
人事評価制度の改革も必要となる可能性が高いと言えます。DX化推進のために業務量の調整や人員増強を行ったとしても、評価制度が今までと変わらなければDX化のために動こうと考える社員が少なくなるでしょう。たとえば、成果主義にこだわっている企業では、より多くの報酬を得るために自分の収入に繋がることだけに力を入れる社員もいます。成果主義に固執していると、DX化に貢献することで評価や給与が下がってしまうと感じて動けなくなってしまう社員があらわれるかもしれません。また、ベテラン技術者や職人がいるような企業では、新しい技術やシステムを導入すれば自分たちの能力を活かせなくなり、結果として待遇が悪くなるのではないかと危惧する社員があらわれるはずです。DX化の推進によって特定の社員や部署の待遇が悪くなることがないような体制づくりも重要だと言えます。
2.チャレンジできる環境づくり
チャレンジできる環境やサポート体制も整えておく必要があるでしょう。プロジェクトを率いるメンバーが全ての実証実験を行うわけではありません。どの部署でも関係なく取り入れることになるシステムやツールであれば、プロジェクトメンバーが実証実験を行うこともできます。しかしながら、営業支援ツールや会計ソフト、RPAシステムやERPシステムなどを採用するのであれば、これらを実際に業務で使用することになる人物に協力してもらう必要があるでしょう。IT担当者やプロジェクトメンバーの協力が必要不可欠であることには違いがありませんが、導入後に実際に使うことになる人たちがテストを行う必要があります。部署によっては普段からPDCAサイクルを回すような習慣がなく、実証実験をスムーズに進められない可能性が高いです。どのような手順や方針で進めていけばよいのか示したり、サポートしたりすることが大切だと言えます。社員にやる気があったとしても、新たなシステムを試すチャンスが与えられなければ意味がないので、現場がDX化のために試行錯誤して挑戦できる環境を構築しておくべきです。
DX化推進の体制づくりで重要なこと
1.人材確保と人材育成
体制づくりで重要なことには人材確保と人材育成をあげることもできます。既に雇用されている人材を上手く使えばコストが削減できると考えてしまう企業が多いですが、先述したように今までの業務と新たなことを同じ労働力でこなすことは難しいです。そもそも、デジタル技術を活用できる人材がほとんどいなければ、プロジェクトに携わる人たちが理解を深めるプロセスが必要となります。デジタル人材が少ないと感じるのであれば、DX化推進に貢献してくれるようなスキルがある人材を獲得しておくべきです。プロジェクトを率いるメンバーがデジタル人材であれば、他の社員にも柔軟に指導を行っていくことができるので最適な人材育成を叶えやすくなります。人材確保のためには新規雇用、人材育成のためには指導できるデジタル人材の配置と学習できる環境の提供をあげることができるでしょう。ただし、近年ではデジタル人材の需要が高まっており、期待するような人材を新規雇用することが難しくなっている状態です。新規雇用が難しいのであれば他社との提携なども視野に入れるようにしてください。
2.意思決定がスピードアップできる環境と会社全体で連携できる環境を整えておくこと
DX化推進を成功させるための体制づくりには、意思決定がスピードアップできる環境と会社全体で連携できる環境を整えておくことも大切だと言えます。経営トップによる意思決定が遅くなってしまうと、プロジェクトを円滑に進めることができません。情報が経営トップに伝わるまでに時間がかかる、経営トップの出張や取引先への訪問が多くて時間を確保してもらえないという問題が起きることもあります。経営トップが社内にいるときだけ承認業務を行っているというような場合は、早急に体制を変えるべきです。DX化で取り入れることが推奨されているツールの中には、出先から情報確認や承認が行えるようなものもあります。社内でなければ情報が確認できない、承認作業ができないという問題が起こっていたのであれば、早めに便利なツールを取り入れることで素早く経営トップの意思決定を促せる仕組みをつくっておきましょう。会社全体で連携できる環境の構築も重要であり、足並みの揃わないやり方ではトップに必要な情報だけを伝えることができません。社内全体で情報の共有や進捗状況の確認を行えるようなシステムを導入し、連携して取り組めるようにしておけばスムーズに作業を進めやすくなります。
3.社員の考え方を根本から変えるような教育環境
他には社員の考え方を根本から変えるような教育環境も必要です。DX化に対してネガティブな意見を持っている社員が多い場合、知識のない社員が多い場合は正しく理解できる場を設ける必要があります。システムやツールを使いこなすための技術が学べる環境だけではなく、DX化に向けた意識改革が行える環境も用意しておくと良いでしょう。自ら学ぶ時間を確保してもらうことは難しいはずなので、新たな考え方が広まるように研修を行ったり、意識を変えられるように社員がセミナーに参加できるような体制をつくったりしておくことが大事です。
現状分析 IT資産の分析・評価
現状分析の中でもIT資産の分析や評価も、重要度の高いプロセスです。自社の現状を把握することができなければ、DX化において何から手をつければ良いのか分からないという問題を引き起こします。スムーズに取りかかれないだけでなく、廃止すべきレガシーシステムを使い続けることになったり、本当に必要なものを取り入れることができなくなったりする恐れがあるでしょう。こうした問題が起こってしまうと、DX化を推進しているようで実際には上手くいっていないという問題が起こりかねません。DX推進には長い時間がかかるため、IT資産の分析や評価を確実に行って的確にプロジェクトを進めていかなければ、いつまで経ってもDX化が進んだ企業になれないと理解しておくべきです。
システムやツールを含むIT資産の現状把握
自社の現状を把握するためには、システムやツールを含むIT資産を俯瞰的にチェックする必要があります。全体を眺めたときに老朽化しているものやブラックボックス化しているものがないかどうか確認することが重要です。老朽化したシステムは突然使えなくなってしまう恐れがありますし、ブラックボックス化したシステムは属人化を引き起こす可能性が高いと言えます。長く運用してきたシステムやツールは会社のかけがえのない資産となっていると感じられるかもしれませんが、突如運用できなくなったり、担当者がいなくなったときに使えなくなったりするものは問題です。会社全体で老朽化やブラックボックス化に該当するシステムがどのくらいあるのか、どのシステムが該当するのかを確認していきましょう。最初に全体の分析と評価を行っておかなければ、旧システムの廃止や新システムの導入を行う上で問題が発生することになってもおかしくないです。システムは独立して存在しているものもあれば、他のシステムと連動しているものもあるので、旧システムを止めることで別の重要なシステムが使用できなくなるリスクがあります。このようなトラブルを招かないためにも、俯瞰的なチェックによる全貌の把握が必要不可欠だと理解しておきましょう。
DX化の推進を順調に行うことができている企業は自社のIT資産の分析と評価が確実であり、これを実施した後に業務上廃止しても問題ないものや利用されていないシステムを迅速に廃棄しています。不要であることが分かっても、いずれ使用するかもしれない、ないと困るかもしれないなどと不安になるかもしれませんが、再レガシー化を引き起こさないためにも思い切った決断が必要となるでしょう。早い段階で問題のあるものを廃止しておくことにはたくさんのメリットがあります。利用されていないシステムやツールにコストを使い続けている場合は、廃止することでリソースを確保できるようになるでしょう。不要なものをなくしていくことで自社に本当に必要なものが明確化されますし、古いシステムをなくすからこそ取り入れたほうが良いシステムやツールも見つけられるはずです。
現状分析 IT資産の分析・評価の注意点
1.IT担当者だけが携わること
IT資産の分析や評価を行い、これをもとに行動に移すのはIT担当者の仕事だと思っている人が多いと言えます。確かに、知識やスキルを持つ人材でなければ確実な判断を下すことが難しくなりますが、IT担当者だけが携わることは危険です。再レガシー化を防ぐためには経営層も不要なものと必要なものを理解しておく必要があります。理解が不十分であれば、今後新たな方針を打ち出すときにレガシーシステムを使用するような指示を行ってしまう危険性があるでしょう。現場で働く人の意見や理解も重要であり、担当者だけでは把握できない部分に問題がある可能性が高いです。IT担当者が確認したときには問題なく運用されていると感じるものでも、現場の社員がシステムを理解できていない、特定の人物がいなくなってしまうと運用が続けられないという状態に陥っている可能性があるので注意が必要だと言えます。知識やスキルが豊富なIT担当者が主体となることは問題ではありませんが、理解が乏しい分野であることを理由に経営者や社員を参加させないことは問題です。的確な分析と評価、最適な改善を実現するためにも、経営層や実際にシステムを使用する人に参加してもらうことを忘れないでください。
2.分析と評価は1回だけで終えることができるものではない
IT資産の分析と評価は1回だけで終えることができるものではない点にも注意が必要だと言えます。不要なシステムや問題のある体制を発見することができたのであれば、廃止作業や新たなシステムと体制の構築を行うことになるはずです。必要ないものをなくして新たなものを取り入れることができればオッケーだと考えるかもしれませんが、本当にその判断が正しかったのかという部分まで分析や評価を行う必要があります。不要なシステムを再び活用するべきではありませんが、新しいもので不十分な場合は対応が必要となるでしょう。別のツールやシステムを取り入れたり、体制を構築し直したりすることになる可能性も高いです。全ての分析や評価から新システムの導入まで完了すれば終わった気持ちになりやすいですが、何度も再分析や再評価を行う必要があることを理解しておきましょう。問題なく運用できることが判断できればその状態で運用することができますが、新たな仕組みをつくるたびに他の部分に影響が及ぼされる可能性もあります。DX化を成功させるためにはこまめに現状を把握することと素早く問題に対応することが重要なので、上手くいったと感じる部分まで含めて問題がないかどうか俯瞰的にチェックする機会を設けるようにしてください。
市場で勝てる企業になるにはIT資産の分析・評価を実施しよう
現状分析はDX化の進め方を左右することになる重要なものなので、これも確実に実施することができるようにしておくべきです。手順を間違えてしまえば通常業務に支障をきたしますし、協力してもらうべき相手に協力してもらわなければ円滑にDX化を進めていくことができません。IT担当者などの特定の人物や部署に丸投げになりがちな部分なので、これに関しても会社全体で進めていく必要があることを知っておきましょう。
的確な現状分析によって自社に本当に必要なシステムや体制が構築されるようになれば、新ビジネスのチャンスも獲得しやすくなり、市場で勝てる企業になれるはずです。
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