DX化による解決策として最適なデジタルツール

収集した各種データのAIによるビックデータ分析

業務のプロセスを見直したり、製品やサービスに変革をもたらすDX化には、デジタルツールの活用がポイントになります。これはDX化に限りませんが、ビジネスにおいてはデータが重要で、更にいえばデータの収集と分析が活用に繋がります。収集したデータは分析1つで価値が左右されますから、最大限に価値を引き出す分析を行いたいものです。その有力な選択肢となるのがAIによるビックデータ分析で、膨大なデータの中から有益なものを見つけ出し、最適な形での活用に役立てることができます。

ビックデータ分析とは

ビックデータ分析とは、収集された膨大なデータを関係性を見つける形で、比較を行いながら様々な情報を拾い出す分析方法です。つまり、明確な定義があるわけではないですが、集めたデータをデータ群として分析して、次のマーケティングに用いるものだといえるでしょう。

ビックデータ分析で重要となるのはデータの量と種類、そして発生や更新頻度です。データは多様で必ずしも規則性があるわけではなく、一見してバラバラのデータが入り混じっていたりします。名刺や資料、書類などが1つの山を形作っているイメージで、その中から色々な分析手法でデータを分類したり集計する感じです。

ビックデータ分析の種類

ビックデータにはクロス集計やクラスター分析、アソシエーション分析にロジスティック回帰分析、決定木分析と主成分分析があります。

クロス集計

クロス集計はデータを属性で分ける集計方法で、属性ごとの傾向を知るのに役立ちます。属性は例えば男性や女性であったり、年齢層や居住する地域、家族構成といったものがあてはまります。やり方がシンプルなのでAIの力を借りる必要はなく、データ量が多くても速やかに集計結果が出るので、マーケティングの他にもアンケートで活用されています。

クラスター分析

クラスター分析は属性ではなく類似性を見てデータを分けるやり方で、類似するデータを集団とみなして分けられるのが違いです。どこからどこまでを1つの類似点とみなすか、境界線の決め方は様々ですから、機械的に条件を設定して分析することもできますが、AIを使って分析することも可能です。

アソシエーション分析

アソシエーション分析は、パッと見て関係がなさそうなデータから関連性を見つけ出す手法です。特定の商品を起点に売れ筋の商品を発見する、そういったことができるビックデータ分析のやり方です。通販サイトでよくある、この商品を購入した人はこちらの商品も購入していますというレコメンド機能でお馴染みです。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析は、今後特定の事象が発生するかどうか、その予測を行う為の方法です。確率の予測を行う手法ですから、計算が複雑になりがちですし、データ量がおおければそれだけ時間が掛かるのでAIの出番も多いです。マーケティングの分野では商品が売れる確率の予測に使えますが、医療分野では病気の発症、あるいは再発率の予測などに用いられています。

決定木分析

決定木分析はクロス集計を応用するやり方で、クロス集計を複数回繰り返すことでデータの分類や関連性を発見するものです。マーケティングではターゲットの絞り込みに有用で、比較的単純なクロス集計よりも精度の高いデータの分類や予測が実現します。

主成分分析

主成分分析は複雑化しがちなデータをシンプルにまとめるもので、データを扱いやすくするのに役立ちます。膨大なデータを扱うビックデータは、活用しようとすると比較や分析する要因が増えて必然的に複雑になってしまうので、シンプルに扱える主成分分析は便利です。ただしデータを削ぎ落としていく形になるので、重要な情報が損なわれる可能性があることは留意すべきでしょう。

AIを使ったビックデータ分析

AIを使ったビックデータ分析は、データ収集が容易なIoT時代においては特に重要性が増しており、人の手では難しい複雑な分析を可能としています。例えば今までになかった発想に結びついたり、ビジネスにおける新たな切り口が見つかるなど、いわゆるイノベーションに役立つ強力な武器になると期待が集まります。既存のアイデアの新しい使い方の発見に至ることもあるので、AIとビックデータの組み合わせはDX化の鍵を握ると言っても過言ではないです。

業務における課題の発見や解決のヒント、組織の運用とそれに必要な人材活用、市場の開拓に結びつくマーケティング手法の開発など、期待が高まる部分は多いです。レガシーシステムにこだわっている企業には絶対に真似できないことですし、これからはAIの活用とビックデータをいかに扱うかが明暗を分ける時代となるでしょう。

AIが分析できるデータは、顧客や商品にサービスだけでなく、従業員に関するデータも対象となります。つまりお客さんや自社商品に加えて、従業員にも目を向けられることから、一方ではニーズを汲み取りマッチする商品を開発したり、もう一方では業務を改善して効率化できるわけです。

AIというと何となく凄そうなイメージですが、計算が複雑化すると結果が出るまでに時間が掛かりますし、過去のデータと比較するような分析方法となればもっと計算リソースが必要です。データは日々追加されますし、それこそ多くの顧客を抱えて注文が次々に舞い込むような企業であれば、ビックデータ分析の傍らでAIを改良したり、計算能力の増強が不可欠でしょう。となれば当然ながらコストも掛かりますから、AIによるビックデータ分析は確かに凄いですが、現実には時間やコストといった課題があるので、決して夢のような技術ではないです。それでも多くの企業が注目したり活用方法を模索しているのは、膨大なデータの中に問題の解決だったり、利益を生み出す金の卵が隠れている可能性があるからに他ならないです。

今後コストが下がるようなことがあれば、AIによるビックデータ分析は一気に普及して、どの企業にとっても当たり前のものになるでしょう。とはいえ、日本はAIどころかITに関する人材不足が進行しているので、AIに精通する人材を確保するなら早めが良さそうです。データを扱うスペシャリストのデータサイエンティストがいないと、ビックデータを真の意味で活用することはできないので、そういう人材の確保が鍵を握ります。AIとビックデータを組み合わせると、設備の老朽化の早期発見や意思決定のサポートに流通の効率化、教育の質向上など多岐にわたって価値がもたらされます。

 

CRM(顧客管理システム)によるマーケティングセールス

CRM(顧客管理システム)はマーケティングの定番ですが、これもDX化による悩みの解消、問題の解決や効率化などに役立てられます。

顧客管理システムとは

顧客管理システムは、一見すると顧客情報を入力したり、データベース化して閲覧する仕組みに思われます。確かにデータベース的に管理が行われますが、単純に顧客情報を扱うのではなく、顧客と企業の関係構築であったり、セールスを促進する戦略に用いられます。顧客とのこれまで、そして現在の関係性を確認するシステムともいえますし、現状から次に打つ手を見つけ出すツールとも表現できます。いずれにしてもCRM(顧客管理システム)は既存の顧客を対象とした仕組みで、顧客との関係性を維持したり、売上のアップに繋げるのにも役立ちます。

CRM(顧客管理システム)には名前の他に住所や電話番号、メールアドレスといった個人情報に加え、勤務する企業や役職名、担当する部署などの情報が記録されます。購買や問い合わせなどのアクションも記録対象なので、これらの情報が詳細に管理されることになります。言い換えると、顔を知っていても名前や連絡先が分からない人は、CRM(顧客管理システム)で管理できないことを意味します。

当然といえば当然ですが、企業と接点のな人は顧客にはあてはまりませんし、アプローチしようにも連絡先すら分からなければお手上げです。潜在顧客を見込み顧客にしたり、見込み顧客を購買に結びつけるには別の手法が必要ですから、そこは勘違いしないように注意が必要です。

CRM(顧客管理システム)には顧客に対してメールを配信したり、キャンペーンを企画して実施する管理機能を内包するものも少なくないです。得られたデータを分析する機能も珍しくないので、CRMは顧客を管理するものですが、同時にマーケティングセールスのツールでもあることが分かります。

顧客管理システムの導入

CRM(顧客管理システム)を導入して活用すると、顧客ごとの関係性や距離感が見えてきますし、これまでの購買行動などのアクションから何を求めているかが分かることにもなります。全顧客を対象とするような大局的なデータ分析には、AIによるビックデータ分析が必要ですが、顧客単位や特定の属性の範囲の分析であれば、CRM(顧客管理システム)でも対応可能です。

CRM(顧客管理システム)と一口に言っても、製品によって搭載する機能は異なりますから、何を必要としているのかを明確にした上で比較検討することが大事です。多機能だから便利というものでもないですし、使わない余計な機能ばかりでコストが高くなれば本末転倒です。何の為にDX化を行うのか、デジタルツールにCRM(顧客管理システム)を選ぶのかを念頭に、本質を見失わない製品の選定を行うことが大切です。

顧客管理システムのデザイン

CRM(顧客管理システム)は従業員が頻繁に触れることになるので、UIやUXに目を向けて使い勝手の良さの確認が特に重要です。どこに何があるか分かりにくく、しかも無駄な機能が多い製品は使い勝手が最悪なので、シンプルかつ直感的に分かるデザインが望ましいです。画面のレイアウトが整理されていたり、ひと目でどこに何があるか大まかな把握ができる製品は洗練されています。
言うまでもありませんが、いくら見た目が良くて使いやすくても基本的な機能が貧弱だったり、性能がいまいちで処理に時間が掛かる製品はNGです。UIやUXが最高で処理がスピーディーなCRM(顧客管理システム)が理想的ですが、そう都合の良い製品が簡単に見つからないのは確かです。その為、欲しい機能をリストアップしたり優先順位をつけて、比較検討しながら絞り込むことをおすすめします。

顧客管理システムの運用

CRM(顧客管理システム)は導入して終わりではなく、導入を行い従業員に浸透して本格的に運用できるようになってからが本番です。導入には時間が掛かるものですし、誰もが同じペースで使い方を覚えるわけではないですから、導入や運用初期に役立つ手厚いサポートがあると安心です。サポートの手厚さや質も、CRM(顧客管理システム)選びのポイントの1つになるので、そこにも目を向けながら選定することが肝心です。

CRMには似たようなものにSFAがありますが、こちらは営業の支援に比重が置かれているツールです。実はCRMにSFAの機能が搭載されている製品は珍しくなく、まとめて2つのシステムの導入ができることをウリにしている製品もあります。ただ、やはり特化している製品の方が機能的に優れていたり、別々に導入して組み合わせて活用した方が良いケースがあるのも間違いないです。

短期間でDX化を進めようと一気にあれこれデジタルツールにすると、馴染めない人が出てきて余計に導入が遅れることがあるので、デジタルツールに不慣れな企業は段階的導入が理想です。まずはCRM(顧客管理システム)で顧客の管理をデジタルで効率良く、次にSFAで営業をシステマティックにする、この段階的な導入と定着こそがDX化の成功に繋がります。

顧客管理だけでなく、業務をシステム的に行う製品を導入すると、導入だけでも大仕事になったり簡単には変更できなくなります。それは導入後に使いにくさが発覚しても他の製品に再置換えしにくいこと、置き換えようとすれば余計なコストが発生することでもあります。安易に導入を決めるとDX化に失敗する恐れが強まりますから、じっくりと時間を掛けて製品の比較や導入の検討を進めたいところです。

一定期間無料で機能が確認できるトライアルを提供する企業は多いので、この無料トライアル期間を活用するのもおすすめです。それから海外製品と国産では設計思想が大きく異なったり、日本語対応やサポート体制にも違いがあるので、そこも要確認です。月額制を採用している製品はコストの計算がしやすいですし、クラウドサービスであればサーバーの用意が不要ですから、予算も確保しやすく比較的短期間に導入を進めることができます。

導入のハードルが低いシンプルな製品でも、拡張性が高くカスタマイズ性を併せ持つ製品は長く使えるので、こういう良いとこ取りのCRM(顧客管理システム)が狙い目となるでしょう。

 

チャットボットによる24時間365日のカスタマーサポート

チャットボットとは

チャットボットは日本語で人工無脳とも呼ばれますが、これは過去の呼び名で、現在のチャットボットはかなり進化しています。人工無脳は、ユーザーが入力した情報に対して反応するコミュニケーションプログラムを指しますが、かつては会話が成立する方が稀でした。理由は入力された情報に対応する反応が予め設定されていて、入力情報に応じた機械的な動作をする単純な仕組みだからです。つまり複数の意味を持つ複雑な文章には対応できず、想定外の入力情報には対応できないまさに人工無脳でした。

その後AIの開発が進み、より人間的な振る舞いが可能になった結果、人工無脳はアシスタントと呼べるチャットボットに進化しました。チャットボットは企業の問い合わせ対応に採用されている事例が多く、カスタマーサポートのオペレーターを置き換える形で導入が進んでいます。複雑な内容の問い合わせにはまだまだ人間のオペレーターが必要ですが、よくある質問のように定番の問い合わせに対しては、既にチャットボットで対応することが可能です。

チャットボットの良いところ

チャットボットの良いところは人件費の削減に繋がること、そして24時間365日のカスタマーサポート体制が手に入る点にあります。

24時間対応のカスタマーセンターはこれまでにもありましたが、問い合わせ件数が減る夜間にも人件費が発生するのがネックでした。この為、コスト削減が叫ばれるようになってからは、営業時間を限定したり土日を休むカスタマーセンターも出てくるようになりました。これはコスト削減に加えて従業員の健康を守る目的などもありますが、その反面カスタマーセンターの縮小が顧客の利便性を低下させたのも確かです。

チャットボットによる24時間365日のカスタマーサポートは、縮小されたカスタマーセンターに代わるこれからのスタンダードです。人工無脳は対応力が低く、対応が機械的なことが難点でしたが、人間の振る舞いを学習するAIの登場によって、自然な振る舞いが可能となりました。

入力された文章を解析して質問や問い合わせの意図を汲み取り、最適と思われる回答が提示できるので、的はずれな答えが返ってくることは殆どないです。むしろ、理解できる内容とそうでない内容に合わせて異なる対応が行えるようになっていますから、振る舞いは一見すると本当に人間らしいです。稀に会話が噛み合わないケースも発生しますが、これはAIの学習不足によるところが大きいので、運用を続けていけば改善するはずです。

チャットボットに対応できない質問、問い合わせが合った時にのみ人間のオペレーターが対応するようにすれば、24時間365日の対応と手厚いサポートの両立が実現します。完全に人材が不要になる時代はまだ先でしょうが、それでも企業や教育機関でも導入が進んでいる昨今からすると、カスタマーサポートの完全なチャットボット化は時間の問題でしょう。SNSなどでも、投稿した内容に反応するボットが存在していますが、これもAIを活用したチャットボットの一種です。

チャットボットの活用と導入メリット

チャットボットを活用すれば、LINEをカスタマーサポート代わりにしたり、自動翻訳機能との組み合わせで海外からの問い合わせにも対応できるようになります。問い合わせ窓口が複数に分けられている企業であれば、問い合わせ内容に応じて最適な窓口に案内するといったことも可能です。

チャットボットはカスタマーサポートだけでなく、企業内の従業員向けの問い合わせ対応にも活用できます。運用方法は企業によって様々ですが、オペレーターとの混成で必要に応じて対応を切り替えたり、営業時間外のみチャットボットの運用というケースもあります。

チャットボットを導入するメリットは複数ありますが、1つは従業員の業務効率を上げつつ人件費を削減できることです。もう1つは営業時間外にも顧客対応を行うことで、手厚いサポートによる企業イメージのアップが期待できます。対応が良い企業となれば顧客が抱く印象はポジティブなものとなりますし、商品に関する問い合わせ対応であれば、そこから購買に至っても不思議ではないです。つまりは売上の向上にも繋がるのがチャットボットによるカスタマーサポートで、24時間365日対応を実現するDX化がポイントになるでしょう。

想像してみると分かりますが、問い合わせても繋がるかどうか分からないサポートより、夜間や早朝でも確実に繋がるサポートの方が顧客は嬉しいものです。いつも混雑していて繋がらない電話窓口は論外ですが、時間帯によって繋がりにくくなる窓口も、顧客にとっては使いにくいわけです。チャットボットが対応するカスタマーサポートは、オペレーターが対応する電話と違って混雑する恐れがなく、問い合わせれば確実にすぐ問い合わせに応じることができます。それは顧客を待たせることなく、顧客の貴重な時間を奪わないことを意味しますから、結果として顧客満足度のアップに至ります。問い合わせの回答が的外れだと上がるものも上がりませんが、そこは精度を上げていけば解決します。

今後はオペレーターを確保しようにも人材確保が難しい時代がやってきますから、そういう時代に備える意味でも、カスタマーサポートにチャットボットの導入を検討するのはおすすめです。人材不足対策にもDX化は有効ですし、確保できない人材を補うのにデジタルツールを活用するのは合理的です。その活用方法の1つがまさにこのチャットボットで、カスタマーサポートにおける人材不足をカバーするのに役立ちます。

当面は人間とAIの運用体制となるでしょうが、将来的には人員を減らしてもサポートの品質が維持可能となるでしょう。それまでは段階的に人件費を削減する形ですが、導入には確かにコストが掛かるものの、運用を続ける間にコストを回収して次第にメリットの恩恵が受けられるようになります。夜間や早朝の顧客対応が不要な企業にはあまりメリットがないかもしれませんが、営業時間内の対応だけでも人件費の削減が行えるのは間違いないです。後はコストに見合うかどうか検証することで、導入すべきか否かの判断ができますし、導入が決まれば具体的に計画を立てて実行あるのみです。

 

製造現場における生産管理システム(ERP)の導入

製造現場における生産管理システム(ERP)は、ニーズの変化に対して柔軟に対応できる、製造現場のフットワークの軽さが高められる仕組みです。

生産管理システム(ERP)とは

ERPは企業資源計画のことで、経営資源をより有効に活用するべく確立された概念、そして仕組みを指します。ERPのポイントはリアルタイムで常に変化する状況を見える化したり、データを共有して活かすことにあります。データベースを使って情報を集約しますから、データの管理も効率化しますし、お金や原材料に生産力といった資源と注文や製造、販売状況などの把握に役立てることができます。

製造現場とビジネスに関する一連の流れを管理したり、社外とのビジネス強化にも繋がる生産管理をシステム的に行えるのが、このERPの強みです。運用方法にもよりますが、いわゆる閉じた環境で運用を行えばセキュリティ対策が強固になりますし、社内におけるデータ共有を促進させられます。

ERPで扱う定番のデータといえばドキュメントやメール、表などのファイルで、動画や音声を扱うこともあります。つまり、文章のみならず表で分かりやすく情報を伝えたり、必要に応じて動画や音声を残して共有できるわけです。結局のところ、製造現場に生産管理システムのERPを導入する目的は、生産フロー、引いては一連のビジネスプロセスの無駄を省きコストを削減することに尽きます。

在庫管理や受注に生産状況のリアルタイムな把握、請求書の発行や収益の追跡などもこれ1つで実現するので、ERPの導入がコスト削減に結びつくのも納得です。異なるシステムを連係する形で運用すると、システムごとに使い方を覚える必要があったり、連係がスムーズに上手くいかず使いにくく感じることがあります。しかし、管理を一元化できるERPであれば、システム同士の連係やデータの同期が不要になりますから、プロセスの引っ掛かりがなくなって生産やビジネスのフローがスムーズに流れます。

生産管理には原材料や原価に生産量と納期、品質管理や在庫管理などが含まれます。原材料は必要とされる材料の種類で、原価は仕入れにいくら必要可、生産量はどれくらいでいつまでに納品する必要があるかなど、生産管理といっても多岐にわたります。これらは個別に管理するものではなく、お互いに関係しあっていることから一元的に管理するのが合理的で無駄がないです。

データは管理する部署が違うと部署間のやり取りが必要になりますし、情報共有に遅れがあると後のプロセスに響きます。フローのどこかが停滞すると原材料の仕入れが遅れたり、生産にも遅れが生じて納期がズレることになり得ます。それは特定の顧客だけでなく、後に控える顧客の納期にも影響することを意味するので、小さな遅れがやがて大きな遅れ、そしてビジネスに支障をきたすことにもなるわけです。一見して些細な遅れであっても、後で取り戻さないと雪だるま式に影響が大きくなり、最終的に無視できない損失を生むことにもなります。

生産管理システム(ERP)の機能

生産管理システムのERPには、生産計画と工程管理、販売管理や購買管理と在庫管理、品質管理と出荷管理などの機能があります。各工程は1つ1つが重要ですし、勿論管理には専門性がありますから、1つの工程だけでも決して軽視できないです。これを複数の工程で構成されるのが生産管理なので、何も対策をしなければミスが発生したり、余計なコストが生まれることになるでしょう。

ERPは各工程のミスを減らし工程間の繋がりをスムーズにして、引っ掛かりのない生産工程のフローを実現します。デジタルツールによる変革をDX化といいますが、製造現場におけるDX化の効果は絶大で、生産管理システムのERPの導入でコスト削減と売上アップを実現する企業は少なくないです。ERPはあくまでも生産管理に関わるビジネスの効率化を促進するものですが、生産工程の無駄がなくなることで、企業にもたらされるメリットは小さくないはずです。

生産管理システム(ERP)の歴史

このERPの歴史は古く、1990年代には既に登場していますが、その元となったのは資材所要量計画です。資材所要量計画はMRPと呼ばれる生産管理手法で、資材の管理を中心とする手法ですが、人員や設備といった製造に関する資源を管理するMRP2ものもあります。そこから派生したERPはMRPとMRP2、コンピュータ統合生産CIMの機能が統合して誕生した仕組みです。

ERPの登場により生産管理のシステム化は急速に進み、レガシーなシステムの刷新に迫られた2000年問題を機に、日本でも導入が加速しました。ERPは現在、第二世代のERP2が登場しており、サプライチェーン管理のSCMや顧客関係管理のCRMとの連係が深化しています。

第一世代のERPは、生産管理の透明化や標準化、利害関係者の関係の管理に意思決定にも活用されます。柔軟性が高くてカバーする領域が広いシステムですから、製造現場において幅広く活用されているのも頷けます。

生産管理システム(ERP)の現状

近年はモバイルデバイスとの統合を図る方向にシフトしており、クラウドベースのモバイル対応ERPも登場しています。基幹システムと度々混同されがちですが、基幹システムは主要な業務の為にあるもので、業務とバックオフィスでシステムが分かれていたり、連係が必要になるのが難点です。

対するERPは企業のあらゆるデータを統合することが可能で、単一のシステムでデータの管理が行えるのがメリットです。基幹システムよりも一歩進んだ一元管理の仕組みですから、企業のDX化の強力な武器になりますし、デジタルツールとしてもはやなくてはならないです。

製造現場もコスト削減にさらされている時代ですが、現場の努力だけで無駄を減らしコストを削減するのには限界があります。人員を減らせば人件費は減るでしょうが、それで生産や納品が遅れたり品質が落ちるようなことがあれば本末転倒でしょう。ERPがカバーする領域は多岐にわたるので、導入はそれほど簡単ではないですし、使いこなしには教育が必要なのでコストも掛かります。それでもDX化による製造現場の問題解決には、生産管理システムのERPが有力で合理的な選択肢となります。

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