DX化を推進するメリットとは

業務効率化・生産性向上

DX化することで企業には多くの変化が生じます。そのなかでも特に大きいのは、業務効効率化と生産性向上です。これらをアップさせるための施策は多く存在しますが、古くから活用されているのはアナログ的な手法ばかりです。以前はそれで十分な場合もありましたが、現代社会はITがさまざまな面で浸透しています。それを見据えて改善しなければ、本当の意味で業務効率化や生産性向上を実現するのは不可能です。

業務効率化・生産性向上の実例

1.設計事務所

たとえば、設計事務所でもこれまでは熟練の設計士が、自分のノウハウを用いて製図するのが一般的でした。しかし、それでは多くの依頼に応えられませんし、新しい仕様の製品などに対応することも困難です。一方、最先端の設計システムを導入していれば、ノウハウが足りない設計士でも業務をこなせるようになります。それどころか、クオリティを落とすことなく、短時間で仕上げられるので生産性も大いに向上します。手直しが発生したときも、デジタルのデータを編集するだけで良いので時間の節約も容易です。紙媒体を用いる製図とは異なり、資源のコストを削減するという効果も期待できます。さらに、データを共有することで複数の設計士が共同作業することも可能です。待ち時間が発生しないため、各人の業務効率が飛躍的にアップすることも見込めます。

2.接客業

接客業においても著しい改善を期待できるでしょう。顧客ごとの特徴を担当者がわざわざ覚える必要がありません。美容院などで働いている人は、顧客の情報を覚えることが面倒と感じることも多いです。間違えて頭にインプットしてしまうと、顧客との会話で失敗が生じることになりかねません。覚えることに時間がかかり、掃除などの作業に時間を使いにくくなるという声もよくあります。一方、顧客管理システムを導入すれば、このような負担に悩まされることはなくなります。システムといっても大袈裟なものではなく、支給されたタブレットなどにインストールするだけです。そこに顧客のデータが保管され、接客の時間前に呼び出してチェックできます。データを共有できるので、他の美容師のアドバイスを参考にできることもメリットです。

3.製造現場

工場などの製造の現場でも、多くの面で業務効率化や生産性向上に貢献しています。たとえば、品質管理もその一つであり、これまで目視で行っていた作業の省略が可能です。不良品を出すことは企業にとって大きなダメージになってしまいます。クレーム対応の時間や商品の取り替えの手間がかかるだけでなく、企業にとって致命的なダメージにもなりかねません。SNSが普及している時代であるため、不良品が売られていたという情報は一気に広がります。その結果、企業のブランドイメージは傷ついてしまい、売上が大きくダウンすることも十分にありえます。企業の人気が落ちることで、就職や転職を希望する人が減ってしまうことも大きなデメリットです。それらの影響によって、企業活動の維持が難しくなることもあるでしょう。このようなリスクを解消するには、品質管理を徹底することが重要です。

それをDX化によって実現する製造現場が多くなってきました。具体的なシステムは多岐にわたりますが、画像認識の装置を導入するケースがよく見受けられます。あくまでも外観的なチェックになりますが、人間がわざわざ見なくても、おかしな点を自動で指摘してくれるのです。かなり細かい点まで確認が可能であり、高度な装置ならわずか数ミリ程度のズレでも瞬時に判別できます。スタッフが行う作業は、対象の商品をピックアップして再確認することだけです。さらに、不良品の傾向を分析することが可能なシステムも重宝されています。単純な指摘に留まらず、データとして蓄えることで商品の問題点などが分かるというわけです。そうすれば、早期に回収したり今後の改良につなげたりする施策も打てます。もちろん安価な装置には、そこまでの機能は搭載されていないでしょう。また、データの分析自体はサポートセンターで実施するというタイプも多いです。つまり発展途上といえますが、DX化による成果が出始めていることに間違いはありません。

DX化で業務効率化・生産性向上は加速される

また、一般的なオフィスワークの効率を高めるためにも、積極的にDX化は実施されています。メインとなるのは後述の勤務管理ですが、それ以外の面についてもさまざまな点で導入されているのが実情です。たとえば、経理についてはクラウドの会計システムを採用している企業が増えています。簿記の資格を持っている人などが、紙媒体を用いて管理することが普通である時代もありました。それからパソコンが普及して、表計算ソフトを利用することが一般的になったのです。これだけでもDX化といえますが、近年になってそれとは比べものにならない進化を見せています。それがクラウドの会計システムであり、従業員の作業は売上や経費などのデータを入力するだけで完了です。

税理士や会計士が行うような作業をプログラムが自動で遂行するため、専門知識を持っている必要はありません。仕訳帳や総勘定元帳などは、入力されたデータを使って作成されます。複式簿記の記帳をはじめとして、帳簿をまたがる作業に関してもスムーズな遂行が可能です。会計事務所や税理士事務所と契約している場合は、会計システムをオンラインで共有するという手もあります。そうすれば、入力したデータに誤りがないかチェックしてもらえますし、節税のポイントを見つけてもらえる場合もあるでしょう。このようなメリットにより、会計部門の業務やスタッフの削減を実現できます。また、会計システムに不具合があった場合、オンラインで自動アップデートされることも強みです。最新の税制が発表された場合も、パッケージ版のシステムのように買い直す必要もありません。

そういう点でも恩恵は大きく、作業の中断が発生しないため、別の業務に専念しやすい環境を作れます。他のシステムも導入され、多くの部門がそういった環境になれば、企業全体の生産性が高まることは間違いありません。以上のような革新を起こすものとして、あらゆる業界や業種においてDX化は加速度的に推進されています。

 

働き方改革の実現

DX化が大きく貢献している事柄として、働き方改革が挙げられます。働き方改革とは時代の多様性に合わせて、いろいろな労働スタイルを認めようというものです。しかし、経営層がそのような方針を打ち出しても、現場で実現するのは難しいという実情がありました。なぜなら、働く場所や時間に統一性がなくなると、従業員の実態を正確に把握することが難しくなってしまうからです。対策を何もせずに実施すると、上司の目を逃れて働かない従業員が出てくるなど、収拾がつかなくなる恐れがあります。また、オフィス以外の場所として、勤務場に最も選ばれやすいのは自宅です。プライバシーが重視される現代社会において、会社側がそこに入り込んで管理するのは困難を極めます。

勤務管理システム

こういった問題をクリアするための施策としても、DX化は欠かせないものと認識されるようになりました。その代表となっているのが勤務管理を行うシステムです。従来はタイムカードを使って管理することが一般的でしたが、そのやり方には多くの問題が付随しています。改ざんが容易であるうえに、現地にいなければ出社や退社の時刻を記録できません。後者は働き方改革にとって非常に高いハードルといえるものです。簡単にいうと、本来の職場以外の場所で勤務することが不可能になります。勤務に関する情報を自己申告制にする方法もありますが、あくまでも性善説にもとづくものであり、実態に合っていないことも多いでしょう。

勤務管理のシステムを導入すれば、自宅にいる人の労働状況も正確に記録できるようになります。作業に使うパソコンにインストールするだけで準備は完了です。後は会社にいるときと同じように、そのシステム上で打刻をするだけで済みます。そう言われても、記録されたデータを改ざんされないか気になる場合もあるでしょう。保存したデータを提出するわけではないのため、この点に関しては心配しなくても大丈夫です。管理職とはリアルタイムでつながっているため、インターネット経由で情報を瞬時に把握できます。単純に管理するだけでなく、業務を進めやすくするための仕組みを持つシステムも多いです。そのなかでも主流になっているのは、コミュニケーションの機能を搭載しているものです。

情報共有システム

もちろんメールや電話でも、他の場所で働く従業員や上司と連絡を取れます。しかし、オフィスで話す場合と違って、意思を疎通しにくいことや雰囲気が伝わりにくいこともあるでしょう。それらが仕事に悪影響を与えるケースもあるため、改善するための機能としてテレビ会議が広く採用されています。得パソコンのカメラを使って自分を撮ることで、その映像が遅延なく相手に届きます。これによって、ジェスチャーや表情なども見てもらえるため、細かいニュアンスなどの伝達も容易です。さらに電話と違って、複数の従業員や上司と同時に話せるという特徴もあります。そのため、自宅にいながらにして、会社で行うような会議にも参加できるというわけです。

ファイルを共有する機能も標準的なものになっており、わざわざ印刷したりメールに添付したりする必要もありません。参加者全員に瞬時に見てもらえますし、その状態で書き換えるといった作業も可能です。更新の権限を参加者に割り振って共有の状態にしておけば、自分以外が手を加えられるようになります。ここまで来れば、もはや会議室で資料を前にして、相談している状態と変わらないでしょう。言い換えると、仕事をする場所に縛られなくなるということです。もちろん、すべてを置き換えられるのは難しいため、定期的に出社するなどの対策も必要になります。しかし、少なくとも毎日通勤電車に揺られて、定時に出退社するような働き方は回避できるのです。

営業支援ツール

DX化のメリットを活かせば、出張主体の労働スタイルも実現しやすくなります。特に脚光を浴びているのは営業支援ツールであり、これのおかげで営業担当者の負担が一気に減りました。一口に営業支援ツールといっても、いろいろな製品が存在しています。前述の勤務管理の機能を持っているものも多いですが、最も重視されているのは情報共有のシステムです。勤務管理に関しては、わざわざ打刻のために職場に戻る手間を省けます。つまり直帰できるため、ワークライフバランスの面で有利になるのです。情報共有に関しては、営業における雑用を一気に片付けられる点がポイントです。たとえば、顧客との打ち合わせの後に、面倒な報告書を作成しなくて済みます。ツールのフォーマットに従って情報を入力すれば、上司は勝手にそれを閲覧してくれるからです。

また、上司以外が情報を参照することもポイントとなっています。これは自分にとっても言えることであり、情報を収集したいときに大きな効力を実感できるでしょう。たとえば顧客の担当が変わったときに、全員者が入力した情報を見れば、どのようにアプローチすべきか分かります。これまでは前任の担当者にヒアリングしたり、その人が書いた報告書を探す必要がありました。しかし、営業支援ツールがあれば、該当するデータを検索するだけなので、面倒に感じる手間は何も発生しません。自分の入力したデータが、同僚たちの役に立つことを嬉しく思う人もいるでしょう。このように感じる人が増えれば、営業支援ツールはもっと積極的に活用されるようになっていきます。その結果、営業の自由度が高くなり、部署全体の働き方に大きな変化が現れやすいです。

より極端な例として、企業の所在地から遠く離れた場所で働くケースが挙げられます。県をまたぐことは珍しくなく、国境を越えるようなケースも多くなってきました。いずれにせよ、インターネットによるインフラを確立していることが条件です。セキュリティ対策などもしっかり行われていることで、機密データなどの重要な情報もやり取りが可能になります。海外の優秀な人材を採用した場合でも、必ずしも来日してもらう必要はありません。母国で生活してもらいながらでも、DX化をうまく進めていけば従事してもらうことは十分に可能だからです。なお、このDX化にVRやARの技術が与える影響は小さくありません。

 

レガシーシステムからの脱却

DX化を進めることは、レガシーシステムからの脱却も意味します。これを目当てに推進している企業も少なくありません。古くなったシステムを使い続けることには、わずかなメリットと多くのデメリットがあります。メリットは切り替える手間がかからないということです。既存のものを使っていれば、新しいシステムなどを導入する費用や時間がかかりません。高齢に従業員などは、使い慣れているものに囲まれている安心感もあるでしょう。レガシーシステムを使うメリットはこれぐらいなので、基本的にはすぐにでも切り替えるのが得策です。それはデメリットを確認すれば自明なので、放置するリスクとともに覚えておきましょう。

DX化によるレガシーシステムからの脱却の例と対策

たとえば、システムが陳腐化すると、十分なパフォーマンスを発揮できなくなっていきます。基本的に制作当時の環境に最適化されているため、環境が変わればさまざまな不具合が生じやすくなるのです。OSとの関係もそうであり、ライブラリやモジュールが適合しないという理由で、実行すら不可能になることも珍しくありません。ましてや同時の環境を知らない人にとって、古くなったシステムはブラックボックス以外の何物でもありません。どうすれば効率的に運用できるのか分からず、余計なコストを発生させ続けることになるでしょう。不具合が発生したときに、解決方法を知る人がいなければ、外部に委託することになります。そうすれば依頼費がかかるうえに、その間の業務が停止するようなリスクもあるのです。エラーが長期にわたって出続けると、その間のデータをすべて修復しなければならない事態もありえます。

対策として、使い方のドキュメントを伝統的に残していくという方法もあります。しかし、5年も経てばずいぶんと勝手が変わっており、カスタマイズの繰り返しで参照しにくい状態になりかねません。追加の工事を繰り返す建物のように、ドキュメントやソースコードも煩雑な状態になっていきます。作った本人ですら、意味を十分に理解できなくなることもあるでしょう。メンテナンスできる人が稀有になるほど、維持費がかかりやすくなることも課題です。DX化を進めて現在の環境に合ったものを用意すれば、こういったコストの肥大化を抑制できます。前述の会計システムのように、インターネット経由のアップデートが可能なら、維持にかかる費用もかなり抑えられます。また、システム本体ではなく、他の面に不具合が波及することも防ぎやすいです。

他のシステムやツールと連携

レガシーシステムのなかには、他のシステムやツールと連携しているものも少なくありません。そのため、情報をうまく処理できなくなることで、それ以降のフローに多大な損害が生じる可能性もあります。自社や顧客に大きなダメージを与えるような事態も起こりうるため、リスクヘッジの意味でもDX化を推進したほうが良いでしょう。アドオンなどで機能を改善する方法もありますが、積み重ねていくうちにシステムが複雑化していきます。その結果、障害の複雑化も招いてしまい、改善まで時間がかかることも多いです。そうして生産性がダウンすれば、事業の縮小などに結びつくかもしれません。前述のようにDX化は生産性の向上につながるため、推進の有無で大きな違いが生まれるということです。

さらに、システムを使用する従業員のメンタルに与える影響も小さくありません。上層部がレガシーシステムにこだわり続けていると、従業員のパフォーマンスを下げることになるでしょう。若手社員を中心として、自分の実力を活かして働きたいと考えている従業員はたくさんいます。しかし、システムの性能の悪さがネックとなり、それを実現できていないケースが目立ちます。しっかりDX化をしておけば、単純なバッチ処理などは夜間に自動で済ませることも可能です。それに対してレガシーシステムの場合、日中の作業を中断して実施しなければならないケースもあります。そういった雑用レベルの業務に時間を取られた結果、自分の得意分野で活躍できない従業員はストレスを抱えてしまいます。パフォーマンスの低下だけでは済まず、転職してしまうなど人材流出のリスクも大きいです。働きやすさを重視することは、現代社会における基本的な考え方の一つとなっています。

レガシーシステムを排除する大きな目的

ビジネスの現場における柔軟性がダウンすることも忘れてはいけません。優れたシステムやツールであっても、当時の常識をもとに作成されているという制約があります。ビジネスシーンが変化するスピードはとても速く、一年前の常識が今年は非常識になっていることも珍しくありません。そのため、当時の常識がベースになっているものでは、現状のビジネスにマッチしない可能性があります。前述の環境の話とも共通点がありますが、こちらは人の心理面にまで影響するので問題が大きいです。たとえば、取引が見かけ上はスムーズに進んでいても、提案した内容が顧客の不快感を招くようなケースも起こり得ます。あくまでもシステムを設計した人の感覚に基づくものなので、それが時代にそぐわないなら使い続けることは得策ではありません。感覚のアップデートという抽象的な概念まで視野に入れ、DX化を進めることが重要になります。

属人化を避けることも、レガシーシステムを排除する大きな目的です。システムは古くなるほど使いこなせる人は少なくなっていきます。使える人が欠席した日は業務が進まないですし、会社を辞めてしまうと業務の遂行が不可能です。このような状況を生み出さないように配慮しなければなりません。理想的なのは、担当者が不在になっても代わりの人がスムーズに対応できる状況です。それを実現する具体的な方法として、最新の使い勝手の良いシステムを導入することが挙げられます。いきなり取り入れるのではなく、使う可能性がある人を集めて説明会を実施することも大切です。新しいシステムを敬遠したいと考える人もいるため、最初は機能を絞って紹介したほうが良いでしょう。役に立つという実感を持ってもらうことで、DX化についての理解を促せるようになります。使いたいという意欲を喚起すれば、それだけ自社に定着するようになるというわけです。

 

新しいビジネスの創出

DX化というと、現状のビジネスの改善にフォーカスされがちです。もちろん、その効果はとても大きいですが、一歩進んだ観点で活用している企業も見受けられます。自社を発展させたいなら、新たなビジネスの創出につながることも覚えておきましょう。新規に事業を展開するときの成功率は決して高くありません。一般的に0.3%といわれるほど低い確率であり、それを少しでも高めるための対策が必要になります。その手法として頭角を現したのがDX化で、大きな成功を目指すならロードマップの一部として欠かせません。その仕組みを理解したいなら、自社製品の衰退を念頭に置いておくことがポイントです。どのようなヒット商品でも、売れ行きが悪くなる時期が訪れることを避けられません。好調な状況が永続的ではないことを踏まえ、そのサイクルを予想しながらビジネスを創出していきます。

デジタル分野における革新を早く起こす

ここでポイントになるのが、デジタル分野における革新を早く起こすことです。インターネット上のショッピングモールの台頭をはじめとして、近年に起こっている革新の多くはIT関連です。社会の在り方に影響を及ぼすような変化が、多大な利益を生むビジネスを生み出します。それを自社が成し得たいなら、早期のDX化は避けては通れません。これからの新規事業において、アナログ的な発想にもとづくアイデアは通用しなくなります。たとえば、さまざまな分野で、購入からシェアという選択に多くの人が流れています。リユースが推奨される社会になり、大量生産よりも品質が重視されるようになりました。それらを十分に認識しなければ、新しいビジネスで成功することは困難です。そう言われると、難しい時代に突入していると感じる人も多いでしょう。ところが、見方を変えれば大きなチャンスであり、成功率を30%に上げることも不可能ではありません。

その決め手になるのはDX化であり、多角的な考え方でメリットを最大限に活かすことが条件になります。いくつものパターンが考えられますが、定番となっているのは顧客を起点にすることです。顧客の立場に立つことも大事ですが、それだけでは従来の範疇に留まることに注意してください。顧客の行動を分析して、それを売上に結び付けることに力を入れなければなりません。広告の閲覧といったアクションをもとに、どうすれば購入に結びつくのか分析するのです。顧客の視点を持っていれば推察に役立ちますが、確固たるデータとは異なる点を意識しましょう。ビジネスの軸にするには信用性の面で不安が残ります。それに対してDX化による分析なら、データを客観的に使うことでビジネスチャンスの把握が可能です。恒常的にビッグデータを活かせれば、大規模なビジネスを展開できる場合もあります。

DX本来の目的

これらは壮大な話ですが、DX本来の目的も忘れないようにしてください。デジタル技術を活かして効率化を目指すとともに、ビジネスモデルに大きな変革をもたらすことです。アナログ的な手法では難しかった価値を創出して、それを顧客に提供していくことが主体となっています。逆説に捉えると、顧客が何を求めているのか考えなければなりません。これが顧客を起点として考えるという意味であり、ビジネスを成功させるカギにもなります。このコンセプト自体は以前からありましたが、実現するだけの技術が整っていませんでした。しかし、店舗のポイントカードが紙媒体からアプリに代わるなど、好ましい環境が整備されつつあります。それに乗り遅れないようにするには、自社のDX化を滞らせるわけにはいきません。新しいビジネスのアイデアを形にするための投資であると認識しましょう。

新しいビジネスが生まれるきっかけは新しい情報です。DX化によって情報源が多くなれば、それだけきっかけを多く得られます。企業が情報を得るための手段として代表的なのはアンケートです。これもIT技術を用いれば、紙媒体に記入してもらうよりスムーズに進められます。インターネット上で入力してもらい、それをシステムに自動で分析させることも可能です。これまでのように、担当者が収益して結果を見ながら検討する必要はありません。どのようなアンケートが良いのかAIが提案するシステムもあるなど、効果を大きくするための土壌は用意されています。もちろん、人間のセンスも武器になりますが、それを過信することなくシステムを有効利用していきましょう。

新しいビジネスの創出とDX化のメリット

また、フィードバックをうまく使えることもDX化のメリットです。新規のビジネスがいきなり大きな利益を生むことは多くありません。多かれ少なかれ出鼻をくじかれ、修正を繰り返しながら軌道に乗ることが一般的です。これまでのビジネスでは、顧客の反応を得ることが難しく、的外れな修正を行ってしまうことも多くありました。IT技術を駆使すれば、かなり正確にレスポンスを得られるようになります。たとえば、サポートセンターを利用した顧客に対し、最後に感想を書き込んでもらう方法もあります。5段階評価などで入力してもらう簡易なものも少なくありません。いずれにせよ、相互のやり取りによって顧客の反応を見られるというわけです。それらがデータとして蓄積していけば、現状の商品やサービスの問題点が浮き彫りになっていきます。

こうした問題点をいち早く改善していくことで、新たなビジネスで成功を目指せるようになるでしょう。細かな検証と軌道の修正が不可欠だと理解し、それを簡略化するためのシステムを導入するのが基本です。そのためには、あらかじめゴールを設定することもポイントで、そのプロセスを補完するものがDX化になります。不透明だったデータの可視化やリスクの早期算出など、企業や事業によって最優先事項はさまざまです。だからこそ、自社が置かれている状況を客観的に見極め、有利に転じさせるシステムも選別しなければなりません。ここまでに紹介したように、営業支援ツールをはじめとして多様なシステムがリリース済みです。これからも多くのものが開発されていくのは確実です。

常にアンテナを張りながら、導入済みのものも切り替えていくような柔軟性が必要になります。

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