SaaSとは? 基本知識と導入のメリット・デメリット

SaaSとは何か

IT活用のために最新サービスやシステムを導入する企業は増えています。SaaSも多くの企業に取り入れられているサービスの1つだと言えるでしょう。これはソフトウェアを利用するためのサービスであり、他の方法でソフトウェアを使うときとは違ったメリットを得ることができます。導入が容易であったりコストが削減できたり、今までとは違った使い方を実現できたりすることが特徴的です。とても便利なものなので前向きに導入を検討する企業が多いですが、利用したいのであれば基本情報や利点、注意点などを理解しておく必要があります。

SaaS = クラウド型のソフトウェア

SaaSを分かりやすく説明すると、クラウド型のソフトウェアです。Software as a Serviceを略したものがSaaSであり、サースと呼ばれています。誤ってサーズと発音してしまう人もいますが、こちらは病気を指す言葉になるので要注意です。新聞でもサースと表記されており、伝達ミスを防ぐためにもサースと発音することを心がけましょう。日本語訳ではサービスとしてのソフトウェアとなり、これまで主流であったパッケージ製品のソフトウェアとは違ったものだと何となく分かるはずです。SaaSの開発や提供を行う企業をベンダーと呼びますが、ベンダーが提供しているクラウド上にあるソフトウェアを利用者は使うことができます。インターネット環境があればアクセスできるクラウド上でSaaSを利用することができるため、パソコンにプログラムをインストールしたり自社でサーバーを用意したりする必要がありません。従来はソフトウェアを使うために、パッケージ製品を購入してパソコンにインストールを行うか、自社で開発や構築を行う必要がありました。SaaSであればこれらの作業を必要とせず、必要なサービスを速やかに使える状態にすることができます。

クラウドで提供されているサービスはたくさんあり、その中の1つにSaaSがあることを知っておきましょう。動画や音楽、ゲームなどのストリーミングもクラウドサービスに含まれます。

SaaSはソフトウェアの中でもビジネス向けのものを指すことが一般的であり、幅広い業種や職種で役立てられるサービスが提供されていることが特徴的です。

文書や資料を作成するためのシステム、表計算や会計を行うためのシステムなどが代表的なものだと言えます。もちろん、他にもビジネスに役立つツールやシステムが数多く存在しており、豊富なラインナップから自社に合ったサービスを選んで利用することが可能です。企業がSaaSを導入することで実現できる内容は、たくさんあると知っておく必要があります。ソフトウェアをマルチデバイスから利用できるようになったり、複数のユーザーが同時に編集をしたり、会社全体で情報を管理できるようになったりするので、従来式のソフトウェアとは違った体験が可能です。オンラインストレージへデータが保存できることも魅力的な特徴で、膨大なデータを自社で保管する必要がなくなります。

ビジネス目的のSaaS種類は主に2つある

ビジネス目的のものが主にSaaSと呼ばれていますが、これは2つの種類に分けることが可能です。Horizontal SaaS(ホリゾンタルサース)Vertical SaaS(バーティカルサース)であり、前者は業界や分野を問わず使える汎用的なもの、後者は特定の業界や分野に特化したものだと言えます。SaaSと表現されるときには前者のHorizontal SaaSを指すことが多く、文書作成ツールや財務会計システム、人事給与システムなどをあらわしていることが多いです。Vertical SaaSでは幅広い業界で使用することができないツールやシステムを利用することができ、医療業界や飲食業界、小売業界や農業関連などで使用されることが多くあります。オンライン予約やオンライン診療、ネット予約やテイクアウト注文などを可能にするサービスもあり、社内だけで完結するものではなく、患者さんやお客さんの利便性を高めるためのソフトウェアもあることを知っておくと良いです。いずれか1つだけに絞る必要はないので、HorizontalとVerticalの両方を利用している企業も多いと言えます。どのような業界でも必要とされる業務はHorizontal SaaSを使用し、業界ならではの特別なことに対応するためにはVertical SaaSを取り入れるようにするなど、適切に使い分けることで満足度の高い導入が実現できるでしょう。

SaaSの歴史

SaaSを取り入れる企業はここ数年でかなり増えているので、最近登場したものだと勘違いする人も多いです。世界的に見ると、クラウドコンピューティングの普及をきっかけとして2006年頃から提供され始めています。日本では2007年頃からSaaSの定義が発信されるようになり、2009年頃からSaaSという名称でサービスを提供するベンダーが増えていきました。SaaS業界が特に活発化しているのは最近のことですが、10年以上前から日本でも存在していたサービスだと言えます。近年は導入を検討したり実際に導入を済ませたりしている企業が増えているため、新しいサービスを開発するベンダーやこの業界に新規参入する企業が多くなっている状態です。現在では企業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進が重要だと考えられるようになっており、IT活用に繋がるSaaSを取り入れる企業が増えていることは自然な流れだと言えます。時代に合った利用するメリットが多いサービスだと言えるため、今後も新たなベンダーが登場したり、新たなサービスが提供開始となったりする可能性が高いです。未導入であれば、早めに行動することをおすすめします。

このような特徴があるので、これを踏まえた上でより詳しい内容を知ると良いでしょう。説明したように汎用型と特化型でできることが違いますし、それぞれのタイプで多彩なベンダーから豊富なサービスが登場しています。どういった機能を必要としているのか的確に判断したり、自社に最適なサービスを選んだりするためにも、より詳しい部分まで知っておくことが大切だと言えるでしょう。

 

SaaSのサービスの具体例

基本的な特徴を聞いても、どのようなものがSaaSに該当するのか分からないと感じる人もいるかもしれません。サービスの具体例を知ってみると、これもSaaSに含まれていたのかと気づくことができるはずです。会社で使っていなかったとしても、個人的に利用しているものも見つかるかもしれません。ビジネスシーンで頻繁に利用されているものや、会社でも個人でも利用されることが多いSaaSを紹介します。

SaaSサービスの4つの具体例

1.Gmail

GmailはGoogleより提供されているフリーメールサービスです。実はこれもSaaSに含まれます。ブラウザからGmailのページにアクセスしてログインすれば、ブラウザ上でメールの作成から送信まで実施することが可能です。送信したメールや受信したメール、下書きなどは全て自動的に保存されますし、添付された写真やファイルをダウンロードすることもできます。あまりにも有名なサービスなので、自分自身でフリーメールアドレスを取得したいときにも、Gmailの利用を検討したり実際に利用したりする人が多いです。ビジネス向けのサービスも提供されていることが特徴的であり、Gmailを選ぶのであれば独自ドメインを含んだカスタムメールアドレスを入手することができます。個人用は無料で利用することができますが法人用は有料です。独自ドメインに会社名を含むこともできるので、取引先や顧客に送信するメールを作成するときに、アドレスからどの会社であるか判断してもらいやすいというメリットもあります。中小企業に勤める人や社内だけでやり取りをする人、個人事業主で自分の名前が含まれるアドレスを持っている場合などは無料でも不便に感じることなく利用できますが、ある程度の社員がいる場合や取引先とのメールが多い場合は法人向けが便利だと言えるでしょう。

2.Twitter

TwitterもSaaSサービスに含まれます。リアルで交友関係がある友達と繋がるため、オンライン上で趣味友達を探すため、情報収集を行うためなどの理由で個人的に利用する人も多いSNSです。こちらもブラウザ上からでもアクセスすることができ、開いたページで様々なアクションを起こすことができます。1回につき全角であれば140文字、半角であれば280文字を投稿できるサービスであり、端的に自分の考えや思い、経験したことなどを伝えることが可能です。多くの人に見てほしいとき、何となく誰かに伝えたいことがあるときなどに活用する人が多いと言えます。幅広い世代の人が利用していますし、著名人が情報を発信するために活用することも多いです。もう気づいた人もいるはずですが、Twitterを利用する企業もたくさんあります。近頃はSNSで情報を収集する人が多いので、より多くの人に情報を伝えるために公式ホームページだけではなくTwitterを運用する企業が多いです。Twitterで企業アカウントを作成し、情報発信を行ったり、顧客からの質問に答えたりする企業は年々増えていると知っておきましょう。

3.Dropbox

Dropboxも有名で利用者が多いSaaSサービスです。有名なクラウドストレージの1種であり、これもプライベートとビジネスの両方で使うことができます。ドラッグアンドドロップの簡単な操作で専用フォルダに写真や資料ファイルなどを保存できるので便利です。オンラインストレージとローカル間で同期を行うことができ、実行した本人だけがデータを確認できるだけでなく、他の人に共有することもできます。Dropboxを利用する場合は変更履歴からロールバックが行えるので操作ミスがあっても簡単に元の状態に戻すことができますし、オフラインで使用するときにダウンロードする必要がないことも特徴的です。オンラインストレージにデータを保管できるので、パソコンやスマートフォンが壊れたとき、USBやHDDが破損したときなどもDropboxからデータを取り戻すことができます。大事なファイルをクラウド上に保管できるのでトラブルを回避しやすくなりますし、自分で選んだ相手だけに簡単に共有ができるのでビジネスシーンでも用いられることが多いです。

4.Microsoft Office

Microsoft OfficeにもSaaSサービスがあります。少し前までは、通販や家電量販店などでパッケージ版を購入してパソコンにインストールすることが主流でした。けれども、現在ではSaaS版を利用する人も増えています。WordやExcel、PowerPointなどの基本的なツールが利用できることには変わりがありませんが、パソコンにインストールを行わなくてもブラウザ上で利用することが可能です。保存したファイルはもちろんクラウド上に保存されるので、データを失うリスクを回避することができます。ビジネスに最適なツールがMicrosoft Officeとしてたくさん販売されていますが、パッケージ版を利用するとデスクトップでアイコンがごちゃごちゃする、インストールに時間がかかるなどの問題も起こりやすかったです。SaaSでこれを利用すれば、インストールを行う必要がないですし、ブラウザから利用できるのでデスクトップにアイコンを配置する必要がありません。

身の回りには様々なSaaSサービスがある

有名なSaaSにはこういったサービスがあります。具体例をチェックしてみると、実際に使っているものやサービス名を見聞きしたことがあるものが多いと分かるはずです。ただし、ビジネスで活用できるSaaSサービスはこれだけではありません。取り上げた内容はほんの一部に過ぎず、もっとたくさんのサービスが存在しています。Gmail以外にもSaaSサービスのメールがありますし、Twitter以外にもSaaSサービスのSNSがあり、オンラインストレージやオフィス製品に関しても同じです。詳しく調べてみると、身の回りにはSaaSサービスが多いと気づけるでしょう。他にも財務会計システムや人事給与システムを始めとする、幅広いビジネス向けサービスがあります。色々なサービスがSaaSとして提供されているため、自社に導入することを視野に入れているのであれば、どのようなものがあるのか詳しく調べてみることがおすすめです。

 

PaaSやIaaSとの違い

SaaS以外にもクラウドサービスはたくさん存在しています。その中でも、PaaSやIaaSがこれに似ていると言われるケースが多いです。確かに、綴りを見てみると頭文字以外が全く同じだと言えます。字面とビジネスシーンで利用できる点は似ているものの、この3種類は違った性質を持つものです。SaaSの導入を検討しているのであれば、これと同じものであると勘違いされることが多いPaaSやIaaSについても理解を深めておくことをおすすめします。

PaaSとは?

PaaSはPlatform as a Serviceの略称であり、パースと呼ばれているものです。直訳はサービスとしてのプラットフォームになります。SaaSではソフトウェアがサービスとして提供されていますが、PaaSではプラットフォームがサービスと提供されている点に違いがあるでしょう。プラットフォームは機器やソフトウェアを動かすために必要とされるものであり、動作の基盤となる装置やソフトウェア、サービスを組み合わせた動作環境がこれに該当します。つまり、PaaSを利用するのであればアプリケーションソフトを動かすためのデータベースやプログラム実行環境を獲得することが可能です。PaaSを利用する場合は、自社でプログラムのみ用意することになります。設定可能な内容や実行環境は限られていますが、自社で特別にプラットフォームを用意しなくてもスムーズにプログラム開発を行うことが可能です。各端末にもOSなどのプラットフォームがインストールされていますが、PaaSはオンライン上で提供されている別形式のプラットフォームを利用することができます。プログラム開発環境を何もない状態から用意することは大変です。多くのものを導入する必要がありますし、初期費用が莫大なものとなるでしょう。従来はエンジニアが環境整備から始めなければならなかったので、プログラム開発を行うためにはエンジニアにかなりの負担がかかっていました。PaaSを利用するのであれば、クラウド上に公開されている実行環境を利用することができるので、余計な手間や労力がかかりませんしコストも抑えることができます。エンジニアはプログラム開発だけに打ち込むことができるので、負担が軽減されるだけでなく業務効率の向上も期待することができるでしょう。インターネット経由で利用できる代表的なPaaSには、Google App EngineやMicrosoft Azureがあります。Google App EngineではGoogleのインフラストラクチャ上でバージョンを管理することができますし、Microsoft Azureではアプリケーション動作環境とWindows Azure AppFabric、SQL Databaseが利用できるようになっていることを知っておくと良いです。

IaaSとは?

IaaSはInfrastructure as a Serviceの頭文字を取ったものであり、イアースもしくはアイアースと読むことができます。サービスとしてのインフラという訳になり、インターネット経由でインフラが利用できることをあらわしていると分かるはずです。情報システムを稼働するときに必要となる仮想サーバーやHDD、ファイアウォールなどのインフラを利用することが可能です。SaaSやPaaSと比較してみると、カスタマイズ性が高いと言えます。ハードウェアのスペックやOSをカスタマイズできるので自由度が高いですが、IaaSを利用するのであればOSなどについてのハイレベルな知識が必要となるでしょう。IaaSを導入するのであれば自社に物理サーバーを用意する必要がありません。契約を済ませるだけでインフラが整った環境が手に入るので、素早い作業の開始を実現できます。物理スペースを考慮する必要がなくなりますし、その都度必要な分だけ仮想サーバーを追加できる部分にも利点も感じられるはずです。自社で物理サーバーを持たなくて良いこと、インフラのセキュリティ対策やメンテナンスのための費用が発生しないことからコストを削減することもできます。IaaSも担当者の負担軽減に繋がるでしょう。OSやインフラの運用は負担が大きくなります。IaaSであれば整備やセキュリティ対策などを担当者が行わずに済むので、社員の負担を減らしたり他の業務に打ち込んでもらえたりするというメリットが得られるはずです。代表的なIaaSには、Google Compute EngineやAmazon Elastic Compute Cloudがあります。Google Compute EngineとAmazon Elastic Compute Cloudのどちらを利用する場合でも、カスタマイズを行いながら自社にとって使い勝手の良いインフラを構築できるでしょう。

SaaS・PaaS・IaaSの違いを理解しよう

PaaSとIaaSにはこのような特徴があります。詳細な内容を確認してみると、SaaSとは大きく違った特徴を持つものだと理解できるはずです。名前は似ていますが、実際に利用できるサービスや実現できる内容は異なっています。3つのサービスを区別することができない場合は、導入するサービスの選定時に困惑することになったり、自社で必要なものを素早く見つけることができなかったりする恐れがあるでしょう。SaaSはインターネット経由でソフトウェアを利用できますが、PaaSはプラットフォーム、IaaSはインフラに特化している存在だと覚えておくと良いです。いずれもデジタルトランスフォーメーションを推進するために大いに役立つものなので、いくつかのサービスを取り入れたり、全部のサービスを取り入れたりしている企業もあります。SaaSを求めている場合にはPaaSやIaaSを選んでも求めるものが得られないので注意が必要ですが、プラットフォームやインフラまで便利に利用したいのであれば導入を検討してみると良いです。実際にはSaaSと全く違うものだと言えますが、混同して記憶してしまう人は非常に多いと言えます。適切にサービスを選べるようにするためにも、SaaSだけではなくPaaSとIaaSへの理解を深めておきましょう。

 

SaaSを導入することに対するメリット

インターネット上で利用できるSaaSの特徴を知るだけでも、優れた点がたくさんあるサービスだと分かるはずです。導入することを視野に入れている場合や導入すべきかどうか迷っている場合は、SaaSのメリットをより詳しく知っておくと良いでしょう。利用することにはたくさんのメリットがあるので、各利点について理解を深めておくことをおすすめします。

SaaSを導入のメリット5選

1.手軽に導入できる

まずは手軽に導入できることが大きなメリットです。現在では、SaaSがソフトウェア導入方法の中で最も手軽な導入方法だと言っても過言ではありません。これまで主流とされてきた方法にはパッケージ版の購入がありますが、こちらを使用するのであれば製品を購入して自社のパソコンにインストールするという作業が必要です。現物を手に入れるまでに時間がかかることも多いですし、社内の複数のパソコンにインストール作業を行うことも大変だと言えます。CD-ROMを光学ディスクドライブに挿入して読み込ませるとインストールが可能になりますが、1枚のディスクで複数台のパソコンにインストールできるケースが多いです。そのため、気が向いたときに作業を行いづらく、インストールできそうなタイミングを見つけても他の人がインストール中という問題も起こりやすかったと言えます。パッケージ版以外では自社開発や構築という方法をあげることができますが、これも導入が大変です。安定した運用までに数か月以上かかることが多いため、思い立ったときにすぐに導入することができません。一方で、SaaSであれば素早く手軽に導入できます。利用したいサービスで申し込みを行った後は、知らされたユーザーIDとパスワードでログインするだけでサービスを利用できるようになるでしょう。好きなときに手短に作業を済ませることができますし、複雑な操作を必要とすることがないのでIT活用に疎い社員でも自分自身で導入作業を行いやすいです。

2.導入コストが抑えられる

導入コストが抑えられることもSaaSの魅力だと言えます。製品版を必要な分だけ購入するためには高額な初期費用が必要となることが多いですし、自社開発や構築であれば100万円以上のコスト投入となっても不思議ではありません。SaaSは初期費用がかからない、もしくは安いことが多いですし、月額料金制なので最初から高い支払いを行うことになりません。パッケージ版を購入するとあまり使用しなくても最初に支払ったお金は戻らないです。SaaSを選ぶのであればアカウント数を調整しながら本当に必要な分だけ契約することができますし、従量課金制を選べば使用状況に応じた料金だけ支払うことになります。使っていないのに高い料金を支払うことになるという問題が起こりにくいです。導入時には多くのサービスでお試し版や無料版が利用できることも魅力的なポイントで、無料もしくは格安な料金設定で実際の使用感を試すことができます。あらかじめ使用感を確認しておくことができるので、やはり他の製品に乗り換えようという問題が起こりづらいです。パッケージ版はリアルな使用感を確認しづらいケースが多く、他の製品も追加購入することになると無駄にコストがかかってしまうでしょう。

3.ストレージ容量に関係なく利用できる

利用するデバイスのストレージ容量に関係なく利用できることも、SaaSならではの魅力です。端末にインストールを行う必要がないので、プログラムをインストールするための容量も作業に応じて増えるデータのための容量も必要ありません。ソフトウェアはとても便利ですが、パッケージ版をたくさんインストールすると空き容量がなくなってしまったり、動作が遅くなってしまったりすることが多いです。SaaSを利用すればクラウド上でソフトウェアが利用できる上に、データもオンラインストレージに保存されるので安心だと言えます。また、オンラインストレージに保存されたものは社内やチーム内の相手と簡単に共有できるので、ファイルをダウンロードすることなく情報が確認できるというメリットもあるでしょう。

4.ソフトウェアの管理を行う必要がない

ソフトウェアの管理を行う必要がないところもSaaSの良い点です。パッケージ版はインストール済みの端末にてバージョンアップ作業を行う必要がありますが、SaaSの場合はベンダーがバージョンアップしてくれたソフトウェアを利用することができます。面倒な手間がかかることなく、いつでも最新のソフトウェアを使用することが可能です。セキュリティ対策も自社で実施する必要がなく、ベンダー側に任せることができます。管理に時間を取られてしまうことがなくなるので、社員は本当に必要な業務に打ち込めるようになるはずです。

5.マルチデバイスで利用できる

マルチデバイスで利用できることも大きなメリットだと言えます。SaaSにはパソコンだけはなく、タブレットやスマートフォンから使えるサービスが多いです。今まで主流だったソフトウェアの導入方法を選ぶ場合は、基本的にパソコンから使用する必要がありました。SaaSはインターネットに接続できればデバイスを問わないものも多いので、社内だけではなく社外からでも利用することができます。インストール済みのパソコンを使う必要もないので、インストールの有無を気にすることなくあらゆる端末から利用できることも魅力的なポイントです。マルチデバイスに対応しているSaaSを活用するのであれば、外回りをしている社員や出張中の社員でもソフトウェアを使うことができますし、リモートワークでも業務が制限されにくくなります。

SaaS導入のメリットはたくさんある

SaaSを導入するのであれば、こうしたメリットを実感できるはずです。コスト削減や業務効率アップ、多様な働き方を実現することができるでしょう。魅力的なサービスは導入が難しいことも多いですが、SaaSの場合は導入が簡単というメリットもあります。優れた要素が多いサービスなので、利用を検討することがおすすめです。SaaSは多くの企業が嬉しいと感じられるような特徴を持っています。メリットを知ってみることが、自社に合っているかどうか判断するための助けになるはずです。SaaSに興味がある場合は具体的な魅力を理解した上で、導入するかどうか検討してみると良いでしょう。

 

SaaSを導入することに対するデメリット

SaaSには数多くの魅力があるのですが、デメリットと感じられてしまう部分や利用するときに注意しておかなければならないこともあります。メリットだけを理解してSaaS導入の話を進めてしまうと、実際に使い始めてから問題に気づく恐れもあるでしょう。事前にデメリットや注意点を知っておけばトラブルを回避しやすくなります。満足度の高い導入や運用を実現するためにも、あらかじめデメリットになり得る部分まで理解しておきましょう。

SaaSを導入のデメリット5選

1.カスタマイズの自由度が高くない

カスタマイズの自由度が高くない点がSaaSのデメリットです。自社でソフトウェアを構築する場合と比較すると、圧倒的に自社構築のほうがカスタマイズの自由度が高いと言えます。これまで自社でソフトウェアを構築しており、コストや社員の負担軽減などを理由にSaaSに切り替えようとする場合は、導入したサービスのカスタマイズ性の低さにガッカリするかもしれません。ただし、今までパッケージ版で不便さを感じたことがない場合、そもそもソフトウェアを使っていなかった場合は、この問題が気にならない可能性が高いです。パッケージ版と同じくらいのカスタマイズ性、もしくはそれよりも少し高いカスタマイズ性であることが多いと言えます。自社ならではの仕組みがたくさん反映されたソフトウェアを使いたいと思うのであれば、SaaSの導入には慎重になったほうが良いでしょう。

2.自社でセキュリティを高めることができない

自社でセキュリティを高めることができないという注意点もあります。セキュリティ対策はベンダーに任せることになるので、ソフトウェアのセキュリティ対策を行うことができません。ブラウザから簡単にアクセスできるサービスなので、きちんと対策が講じられていないサービスを利用してしまえば、不正アクセスやデータ改ざん、情報漏洩などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。自分たちでセキュリティ対策を行わずに済むことはメリットでもありますが、サービス選びを間違えると危険が伴うことを理解しておきましょう。初めから堅牢なセキュリティとなっているSaaSを探すだけでなく、随時ハイレベルなセキュリティ対策を取り入れているようなサービスが安心です。悪意のあるユーザーによる攻撃は常に変化しているので、今の対策で問題ないと油断しているベンダーを選ぶと対策が古いことを理由に大きなトラブルが起こるかもしれません。選定時にはセキュリティの詳細やこれに対するベンダーのスタンスなどを確認しておくと、安心して利用しやすいサービスを見つけることができます。また、自社のセキュリティポリシーに合致するかどうかの確認も重要です。セキュリティポリシーに合っていない場合は契約するサービスを見直したり、自社のセキュリティポリシーが適切なものであるか見直したりする必要があるでしょう。

3.プロバイダーによる制約を受ける可能性がある

プロバイダーによる制約を受ける可能性があるところも、SaaSを利用する前に知っておくべき注意点です。インターネット経由でアクセスするものなので、プロバイダーの開発計画や障害などによって上手く接続することができず、業務が滞ってしまう可能性もあります。業務に大きな支障が出るほどの制約を受けるリスクは低いと言えますが、絶対に起こらない問題だとは言い切れません。オフラインでも利用できる機能が備わったSaaSを選んだり、マルチデバイス対応のSaaSを選んだりすることで、プロバイダーによる制約を受けたときの対策を講じておくことがおすすめです。途中で作業が中断されてしまったときに備えて、定期的に自動で保存を行ってくれるようなSaaSを選ぶこともおすすめだと言えるでしょう。

4.サービスが停止したときに自社で復旧することができない

サービスが停止したときに自社で復旧することができないという問題点もあります。何かしらの問題が発生したとしても、ソフトウェアそのものに問題がある場合は自社で対応することができません。インターネット接続環境に問題がある場合は自社で対処することができますが、ソフトウェア自体の問題はベンダーによる対処や解決を待つしかないです。頻繁にサービスが停止してしまうようなSaaS、業務に支障が出るほどの大きな問題が起こってしまうようなSaaSを利用すると、円滑に作業を進めることができません。サービスを選ぶときには、これまでサービス停止がほとんど起こっていないものであるか、トラブル時の復旧体制がしっかりしているものであるか確認しておくことが大切だと言えます。

5.かえってコストがかかってしまう場合もある

正しいサービス選びを実現できなければ、かえってコストがかかってしまうという問題もあるでしょう。リーズナブルな料金で利用しやすいことがSaaSの強みですが、初期費用の安さや導入の容易さから導入ハードルが低くなります。導入ハードルの低さは嬉しいポイントでもありますが、これを理由に不要なサービスや機能まで取り入れてしまっては利用料金が高くなるでしょう。何となく便利そうだと思った機能を追加したり、本当は少ない機能で十分なのに多機能なプランを選んだりすると費用負担が大きくなります。魅力的なサービスが増えているので、取り入れてみたくなる人は多いはずです。ですが、何でもかんでも取り入れてしまうと、無駄だったと後悔することになるかもしれません。ソフトウェアを利用する人たちで必要な機能やあったら嬉しい機能を事前にまとめておき、本当に必要なものだけが採用できるようにしておくと良いです。定期的にプランを見直すことも大切であり、利用していないオプションは解約したり、アカウント数を減らしたりすることが大事だと言えます。

SaaS導入のデメリットを把握しておこう

SaaSは非常に便利なサービスであり、パッケージ版や自社構築とは違った魅力をたくさん持っていますが、導入時には注意点まで理解しておきましょう。デメリットの中には自社は問題ないと感じられるものもあれば、気になってしまう部分もあるはずです。きちんと注意点を把握しないままサービスを契約してしまうと、問題のあるSaaSや自社に合わないSaaSを選んでしまう恐れがあります。サービス選びのときに慎重になったり、対策を考えておいたりすれば問題ないと感じられる内容も多いです。後悔をすることがないSaaS導入のためには、デメリットまで把握し、必要に応じた対策を行うようにしてください。

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